ブラジリアン柔術を始めてしばらくすると、「練習後に指が痛い」「朝起きると指の関節がこわばっている」「指が少し腫れている」と感じることがあります。
特に道着を着用する柔術(Gi)では、相手の襟や袖、パンツなどを指で握る場面が多く、指には想像以上の負担がかかります。
柔術を長く続けている人の中には、指の関節が太くなっていたり、少し曲がっていたりする人を見たことがあるかもしれません。
しかし、柔術をしているからといって必ず指を痛めるわけではありません。
グリップの使い方や練習方法を少し工夫するだけでも、指への負担を減らすことはできます。
この記事では、
- 柔術で指が痛くなる主な原因
- 指を痛めやすいグリップ
- 指への負担を減らす方法
- 練習前後にできるケア
- テーピングの使い方
- 痛みがあるときの練習について
など、柔術を続けながら指を守るために知っておきたいポイントを解説します。
柔術で指が痛くなるのはなぜ?
ブラジリアン柔術では、相手をコントロールするために「グリップ」を多用します。
例えば、
- 袖を握る
- 襟を握る
- パンツを握る
- 帯を握る
- ラペラを握る
といった動作です。
特にGiでは、相手の道着を握った状態で引っ張ったり、相手がグリップを切ろうとしたりするため、指に強い力がかかります。
単純に「強く握る」だけではありません。
相手が動くことで、握っている指が横方向へ引っ張られたり、関節が伸ばされたりすることもあります。
これを何度も繰り返すことで指への負担が蓄積し、練習後に痛みや違和感を感じることがあります。
柔術では一度の大きな衝撃だけでなく、こうした小さな負担の積み重ねにも注意が必要です。
柔術では指を使う時間が長い
柔術のスパーリングでは、一度グリップを作ると数秒から数十秒そのまま握り続けることがあります。
例えばスパイダーガードでは、相手の袖を握りながら足を使って距離をコントロールします。
デラヒーバガードやラッソーガードなどでも、袖のグリップを長時間維持する場面があります。
5分間のスパーリングを数本行えば、それだけでもかなり長い時間、指に力を入れていることになります。
さらに技の打ち込みやドリルも含めると、1回の練習で指を酷使する時間はかなり長くなります。

柔術で指を痛めやすい主な原因
指の痛みにはさまざまな原因がありますが、柔術では特に次のような状況で負担が大きくなります。
グリップを強く握りすぎている
初心者に多いのが「ずっと全力で道着を握っている」状態です。
相手にグリップを切られたくないため、必要以上に力を入れてしまいます。
しかし、常に100%の力で握り続けると前腕だけでなく、指にも大きな負担がかかります。
柔術では「必要なときに強く握る」ことが重要です。
相手がグリップを切ろうとしていないときまで全力で握る必要はありません。
状況に応じて力を抜くだけでも、指への負担はかなり変わります。
相手にグリップを切られている
袖や襟を握っていると、相手は当然グリップを外そうとします。
このとき、相手が強く引っ張っているにもかかわらず無理にグリップを維持すると、指に大きな力がかかります。
特に指先だけで引っ掛けるような状態になると、関節や腱への負担が増えます。
「これは切られる」と感じたら、一度グリップを離して握り直すことも重要です。
グリップを離すことは負けではありません。
柔術ではグリップを作ることと同じくらい、「いつ離すか」も大切です。
袖を指先だけで握っている
袖を握るとき、指先だけで道着を引っ掛けるような握り方になることがあります。
特にスパイダーガードなどでは強力なグリップを作れる反面、指への負担も大きくなります。
相手が後ろに体重をかけたり、強くグリップを切ったりすると、指が伸ばされる方向へ大きな力が加わります。
指が痛くなりやすい人は、自分がどのように袖を握っているか一度確認してみましょう。

指を痛めやすいガードスタイル
柔術ではファイトスタイルによっても指への負担が変わります。
特に袖を多く使うガードは指への負担が大きくなりやすい傾向があります。
スパイダーガード
スパイダーガードは相手の両袖を握り、腕に足を当てながら距離をコントロールするガードです。
非常に強力なガードですが、袖のグリップを維持する時間が長いため、指への負担も大きくなります。
相手が姿勢を上げたり、袖を引いたりすると、指にも強い力が加わります。
ラッソーガード
ラッソーガードも袖を使う代表的なガードです。
袖を握ったまま相手の腕に脚を巻き付けるため、グリップが重要になります。
スパイダーガードと組み合わせることも多く、袖を長時間握るスタイルになりやすいのが特徴です。
デラヒーバガード
デラヒーバガードでは足首や襟などさまざまなグリップを使用しますが、袖を握る展開も多くあります。
ただし、グリップを工夫すれば袖への依存を減らすこともできます。
指に痛みがある場合は、襟や足首など別のグリップを活用するのも一つの方法です。
柔術で指を守るためにできる5つの対策
柔術で指への負担を完全になくすことは難しいですが、練習方法を工夫することで負担を減らすことはできます。
1. グリップを必要以上に強く握らない
まず意識したいのが「握りっぱなしにしない」ことです。
初心者の頃は、相手の道着を掴んだ瞬間から全力で握ってしまいがちです。
しかし、相手がグリップを切ろうとしていないときは、少し力を抜いても問題ありません。
必要な瞬間だけ握る感覚を身につけると、指だけでなく前腕の疲労も減ります。
2. 無理にグリップを維持しない
相手が両手を使って強くグリップを切ろうとしているときなどは、無理に耐えないことも大切です。
一度手を離して、別の場所を握り直します。
例えば、
袖 → 襟
袖 → パンツ
袖 → 手首
といったようにグリップを変更します。
一つのグリップにこだわらなくなると、柔術の展開そのものも広がります。

3. 袖以外のグリップも使う
袖のグリップは非常に便利ですが、すべての場面で袖を握る必要はありません。
襟やラペラ、パンツなどを使うことで指への負担を分散できます。
また、相手の手首を直接コントロールする「ノーギグリップ」を取り入れる方法もあります。
特に指に違和感がある日は、袖を握る回数を意識的に減らしてみるのもおすすめです。
4. グリップファイトを意識する
指を守るという意味でも、相手より先に良いグリップを作ることは重要です。
不利な状態から無理に握ろうとすると、指先だけで道着を掴む形になりやすくなります。
先に襟や袖をコントロールできれば、必要以上に強く握らなくても相手を動かせます。
グリップファイトが上達すると、技を仕掛けやすくなるだけでなく、指への負担軽減にもつながります。
5. テーピングを活用する
柔術では指にテーピングを巻いて練習している人も多くいます。
テーピングにはさまざまな巻き方があり、目的によって使い分けることが重要です。
例えば、
- 関節周辺をサポートする
- 皮膚の擦れを防ぐ
- 隣の指と固定する
- 指の動きをある程度制限する
といった使い方があります。
ただし、テーピングを巻けばどんな状態でも練習できるわけではありません。
強い痛みや腫れがある場合は、無理に練習を続けないことも大切です。
具体的な巻き方については、当サイトの「柔術の指テーピングの巻き方」の記事で写真付きで詳しく紹介しています。
柔術で指にテーピングする場合は、指に巻きやすい細幅タイプが便利です。2巻から購入できるタイプもあります。

練習前に指をウォームアップする
柔術の練習前には肩や腰、脚などをストレッチする人は多いですが、指まで準備している人は意外と少ないかもしれません。
しかし、柔術では指もかなり使います。
練習前に軽く、
- 手を握る・開く
- 指を一本ずつ動かす
- 手首を回す
- 軽くグーパーを繰り返す
などを行っておくと、手や指を動かす準備になります。
いきなり強い力で指を反らしたりする必要はありません。
無理のない範囲でゆっくり動かしましょう。
練習後は指の状態を確認する
スパーリングが終わったら、一度自分の手を確認してみましょう。
「少し違和感がある」「いつもより関節が腫れている」といった変化に早く気付くことが重要です。
練習中は身体が温まっているため、痛みをあまり感じないこともあります。
しかし、帰宅して身体が冷えてから痛みが出てくる場合もあります。
特に同じ場所に繰り返し違和感が出る場合は注意しましょう。
指が痛いときも柔術の練習をしていい?
これは痛みの程度によって変わります。
軽い違和感程度であれば、指をあまり使わない練習方法に変更できる場合もあります。
例えば、
- 技の打ち込みだけ参加する
- スパーリングを減らす
- 袖を使わない
- ノーギグリップを中心にする
- 下からのガードを控える
などです。
逆に、強い痛みや腫れ、変形、動かしにくさなどがある場合は、無理に練習を続けるべきではありません。
「テープを巻けば大丈夫」と考えて練習を続けると、状態を悪化させる可能性があります。
症状が強い場合や長引く場合は、整形外科などの医療機関で診てもらいましょう。

指が痛い日はノーギを練習するのも一つの方法
柔術には道着を着用するGiだけでなく、ラッシュガードなどで行うNo-Giがあります。
No-Giでは道着の袖や襟を握ることができないため、手首や腕などを使って相手をコントロールします。
そのため、Giと比較すると「道着を指で握り続ける」という状況は少なくなります。
普段Gi中心で練習している人なら、指への負担が気になる期間だけNo-Giを取り入れるのも一つの選択肢です。
また、No-Giを練習することで、
- 手首のコントロール
- アンダーフック
- オーバーフック
- ヘッドコントロール
など、道着に依存しないコントロール方法を覚えることができます。
結果としてGiに戻ったときも「何でも袖を握る」という癖が減り、柔術の幅が広がる可能性があります。

初心者ほど「握らない柔術」を意識しよう
柔術を始めたばかりの頃は、相手に振り落とされないように必死で道着を握ってしまいます。
しかし、柔術が上達すると、グリップだけで相手を止めるのではなく、
- フレーム
- 骨格
- 足
- 腰
- 体重
- ポジショニング
などを使って相手をコントロールできるようになります。
つまり「握力だけで相手を止めない」ということです。
指や前腕が毎回パンパンになる人は、必要以上にグリップに頼っている可能性があります。
「ここは本当に握る必要があるのか?」
と考えながら練習すると、指への負担を減らすだけでなく、柔術そのものの上達にもつながります。
柔術を長く続けるなら指のケアも大切
柔術は長く楽しめるスポーツです。
10代や20代だけでなく、30代、40代、50代になってから始める人も珍しくありません。
だからこそ、一回の練習で限界まで身体を酷使するよりも、「次の練習も問題なく参加できる状態」を維持することが重要です。
特に指は柔術で頻繁に使う部位です。
小さな違和感だからと放置せず、
「今日は袖をあまり握らない」
「スパーリングを一本減らす」
「テーピングを使う」
など、その日の状態に合わせて調整しましょう。
柔術は一回の練習で上手くなるスポーツではありません。
無理なく継続できる身体を作ることも、柔術上達の一部だと思います。
まとめ|柔術の指の痛みはグリップの使い方を見直そう
柔術、特にGiでは相手の道着を握るため、どうしても指に負担がかかります。
しかし、「柔術をしているから指が痛くなるのは仕方ない」と考える必要はありません。
まずは、
- 常に全力で握らない
- 切られそうなグリップに固執しない
- 袖以外のグリップも使う
- 指に違和感があれば練習量を調整する
- 必要に応じてテーピングを使う
といったことを意識してみましょう。
特に初心者のうちは「強く握る=良いグリップ」と考えがちですが、柔術では必要なときだけ力を使うことも重要です。
指への負担を減らすことは、ケガの予防だけでなく、力に頼らない柔術を身につけることにもつながります。
指を大切にしながら、長く柔術を楽しんでいきましょう。
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